トゥーバクータに着いた。ダカールより日差しが強く、湿気でムシムシしている。
偶然同じバスに乗り合わせた村の住人と一緒に、宿周辺まで歩く。(話を聞くと、私が泊まる家の向かいに住んでいるとのこと。世間は狭い。)
この人もマングローブのガイドのようなので、今度来たときは彼にツアーをお願いしてみようかな。
いつも思うのだけれど、村に入った途端に時間の流れが変わってしまうのはどうしてだろう。
ダカールとは違い、時の流れが遅いというか、そもそも時間がないというか、別の世界に来たかようなあの感覚。都市の騒音はぴたりと止み、のどかな静けさの中、自然と人々の営みの心地よい音が遠くに聞こえている。
懐かしい宿に着き、出かけているというガイドの友達、イブを待つ。少しも急ぐ必要はないので、木の下に座り、ふんわりした村の空気にたたずむ。
木陰はよく風が抜ける。トカゲが木を這っている。
しばらくしてイブが帰宅。4年ぶりの再会だ。お互いの健康を喜び合い、それぞれの近況を話した。結構歳のイブだけど相変わらず元気そうで、きらきらした目で仕事の話をしている。ガイドは彼の天職だ。
ほとんど毎日ガイドをして平均以上に稼いでいるのに、全くそれを感じさせない質素な暮らしをしている彼。この仕事が好きでやっているのがわかる。だから次々お客さんが増えるのだろう。
素敵な部屋(一泊約2000円!)に案内してもらい、ゆったりくつろぐ。夕方のマングローブツアーに参加することにして、それまでは何もしない、贅沢な時間だ。
(イブが昼食に招いてくれた)
3回目のマングローブツアー
雨季の始まりということもあり、この日は少し雨がぱらついた。こんなツアーもまた新鮮だ。
マングローブの根にはカキがついていて、季節によってはその場で焼いて食べさせてくれる。今回はカキのオフシーズンだったので残念。
だけど、雨が降り出す7月中~下旬にかけては、植物が一気に茂るので、景観的には一年で一番きれいらしい。
見どころ満載のトゥーバクータだ。
貝殻でできた島に上陸。
鳥の巣が集まるスポット。
ボートのエンジンを止め、夕方帰宅する鳥たちと時を過ごす。平和だ。ふと、ここはどこなのだろうと思ってしまうくらい、まるで別世界。雨がパラパラ降るのも、自然と一体になったような感覚にさせる。
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夕暮れに宿に帰りつき、(また)ゆったりする。ビールを飲みながら、夜風にあたる。
一人旅、最高。
昼間の腹痛で得た新たな出会い、日々のこと、人生のことに思いを巡らす。
小さな頃には想像ができなかった、いや数年前にも想像できなかった、セネガルの田舎でこんな風に一人でいること。人生って不思議だ。
5年後、10年後には何をしているのだろう。
2日目
翌日は雨も上がったので、テラスでゆっくりと朝食をいただく。野生の猿も赤ちゃんを連れて顔を出してくれた。
この日は村を散歩したり、座ったり、書いたり、人と話したり。やりたいと思ったことが全部できた休日。また戻ってくるんだろうな、イブやその家族に会いに!
帰路
さて、ダカールへ帰ろう。
帰りの乗り物はセットプラスを選択。これに乗っているときはまるで修行だ。2+3+3の座席で、天井も低く幅も狭いので肌は常に密着状態。エアコンがないので窓を開けたいのだけど、一部壊れていて開かず、息苦しい。
この中に閉じ込められて数時間。荷物としてトランクに入れられていた鶏と一緒に、何も考えず、無心でやり過ごす。
(トラウマになる日本人は多い)
渋滞にもあいながら、ようやくダカールへ到着。待ち時間もあり諸々8時間近くかかった。
じっくり時間をかけて元の世界に戻ってきた感覚だ。
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たった一泊二日だったけれど、いい息抜きになった。また明日からの仕事もこなせそう。
セネガルの地方旅行、次はどこへ行こうか。